2016年02月16日
ストーリーを書くためのウォーミングアップ
ストーリー脚本教室(実践編7)
あらすじを書くために必要なことは、すべてに通じる文章術!
前回、あらすじを書くためにも、他の表現にも大事な方法があると書きました。
『くわしくする』と『前に進む』
この二つです。
◯『くわしくする』は、もう充分ということろの見きわめが大事。
たとえば、一人の登場人物が、シーン(舞台)に現れたとします。
観客(読者・視聴者)は、まず何を思うのかを考えてください。
観客は、この人物のことを何も知らないのです。
『だれ!?』と、思うはずです。
まず、これが誰なのか。どういう人物なのかを教える必要があります。
いや、その前に、ここがどこなのかも伝えなければなりません。
観客は、それがわからないままにストーリーが進んでしまうと、とたんに興味を失ってしまいます。
すべてをわからせる必要はないのですが、興味を無くさない程度の情報は、観客に与えなければならないのです。
観客の想像力を刺激するのが目的だとしても、最低限の情報がないと、見てもらうことさえできなくなってしまいます。
この出すべき情報のさじ加減が大事です。
情報が多すぎても、わかりすぎてつまらなくなるし、少なすぎて興味を失わせてもいけません。
ちょうど良いのはどれくらいかを判断するのは、書き手のセンスです。
シーンに登場した一人の男を、できるだけ完結に観客に伝える方法をいかに編み出すか。
それは書き手の技術力をいかに高めるか、そしてそれを経験で磨いていくかにかかっています。
努力してください。
◯もう充分というところに来たら、それは『前に進む』タイミングです。
ストーリーを展開して、次に進んでください。
そして、またくわしくしなければならないものが出てきたら、またそれをくわしくするのです。
それを繰り返していくことで、ストーリーが出来ていきます。
たとえば、こうです。
(これから書くのは、まったくの即興で書いてます。何も考えずにキーを打っています。)
タイトルは
『タイムトラベラーと会ったときの話』
一週間前のことですが、近所の公園で一人の不思議な男にあったんです。
(いつ、どこではわかります。ここで疑問が出るのは、不思議な男は、どんな男なのか? それをただ詳しくしていきます。ただそれだけです)
その男は、ぼろぼろのコートを着ていて、髪の毛は伸び放題、身体全体からは煙というか火薬みたいな匂いを発していて、まるで火事の現場から逃げ出してきたかのように、顔はすすだらけでした。年齢は二十代後半くらい、ただなんだかとても嬉しそうに微笑んでいて、その瞳はキラキラと輝いていました。男は、自分の原田カナタと名乗りました。
(この男のことをくわしくしようと思えば、まだまだいくらでも書くことができるはずです。ただし、ある程度は観客にイメージすることができるところまでは書いた、充分だと思ったら、次に進みます。
いま書いた文章のなかに、かならず次に書くべきことのヒントがあるはずです。ヒントというか、次のイメージへ思考をジャンプさせてくれるきっかけとも言うべきものです。
ここで僕のイメージを触発させるのは、男が微笑んでいて目がキラキラしていたというところです。
なぜ男は、こんな表情をしているのか?
前に進みます。)
カナタは、僕に、今は何年なのかと訊くので、2016年だと教えると、いきなり僕の体に抱きつき、「やったぁ、成功した! 僕はタイムトラベルしたぞ!」と言うのです。
(ここで僕は、タイムトラベルしたぞと言う男に抱きつかれた、自分の気持ちはどうだったろうと疑問に思いました。そこでこの気持ちを詳しくします)
僕は、やばいと思いました。この男は、頭のいかれたやつで、もしかしたら精神病院から抜け出してきたのかもしれない。かかわるとろくなことにならないぞという不安感が湧いてきました。
(気持ちを詳しくするのは、これくらいで充分でしょう。そうしたら、また前に進みます。ヒントは、自分の書いた文章の中にあります。無意識はすでになにを書くべきかをつかんでいるはずなのです)
僕はこの男を、押し返して、逃げだそうとしました。
ところが男は、僕の体を後ろからつかんではなそうとしません。
「きみは、篠田俊太郎だろう。僕はきみに伝えなければならないことがあるんだ」
(自分の名前を男が知っていたのは、なぜか? 伝えたいこととは、なんなのか? いきなり二つも謎が生まれました。次には、これを詳しくしていきます)
◯こんな感じで『くわしくする』と『前に進む』を繰り返していけばいいのです。
おそらく前に進んでいくうちに、ストーリーの実体がしだいに浮き上がっていくはずです。
ストーリーは何もかんがえていなくても、即興でいくらでも書けるのです。
◯いま紹介したのは、頭のウォーミングアップとしても有効です。
ストーリーをつくるため、あらすじをつくるために、頭と心のウォーミングアップをするのは、いいことだと思います。
くわしくすると前にすすむゲームをやってみてください。
いいウォーミングアップになるはずです。
◯あらすじは、あまり詳しくなくてもいいですが、感情の変化や、起きる事件など、これは絶対に書いておかなければならないというところは外さないようにしたいものです。
あらすじを書くために必要なことは、すべてに通じる文章術!
前回、あらすじを書くためにも、他の表現にも大事な方法があると書きました。
『くわしくする』と『前に進む』
この二つです。
◯『くわしくする』は、もう充分ということろの見きわめが大事。
たとえば、一人の登場人物が、シーン(舞台)に現れたとします。
観客(読者・視聴者)は、まず何を思うのかを考えてください。
観客は、この人物のことを何も知らないのです。
『だれ!?』と、思うはずです。
まず、これが誰なのか。どういう人物なのかを教える必要があります。
いや、その前に、ここがどこなのかも伝えなければなりません。
観客は、それがわからないままにストーリーが進んでしまうと、とたんに興味を失ってしまいます。
すべてをわからせる必要はないのですが、興味を無くさない程度の情報は、観客に与えなければならないのです。
観客の想像力を刺激するのが目的だとしても、最低限の情報がないと、見てもらうことさえできなくなってしまいます。
この出すべき情報のさじ加減が大事です。
情報が多すぎても、わかりすぎてつまらなくなるし、少なすぎて興味を失わせてもいけません。
ちょうど良いのはどれくらいかを判断するのは、書き手のセンスです。
シーンに登場した一人の男を、できるだけ完結に観客に伝える方法をいかに編み出すか。
それは書き手の技術力をいかに高めるか、そしてそれを経験で磨いていくかにかかっています。
努力してください。
◯もう充分というところに来たら、それは『前に進む』タイミングです。
ストーリーを展開して、次に進んでください。
そして、またくわしくしなければならないものが出てきたら、またそれをくわしくするのです。
それを繰り返していくことで、ストーリーが出来ていきます。
たとえば、こうです。
(これから書くのは、まったくの即興で書いてます。何も考えずにキーを打っています。)
タイトルは
『タイムトラベラーと会ったときの話』
一週間前のことですが、近所の公園で一人の不思議な男にあったんです。
(いつ、どこではわかります。ここで疑問が出るのは、不思議な男は、どんな男なのか? それをただ詳しくしていきます。ただそれだけです)
その男は、ぼろぼろのコートを着ていて、髪の毛は伸び放題、身体全体からは煙というか火薬みたいな匂いを発していて、まるで火事の現場から逃げ出してきたかのように、顔はすすだらけでした。年齢は二十代後半くらい、ただなんだかとても嬉しそうに微笑んでいて、その瞳はキラキラと輝いていました。男は、自分の原田カナタと名乗りました。
(この男のことをくわしくしようと思えば、まだまだいくらでも書くことができるはずです。ただし、ある程度は観客にイメージすることができるところまでは書いた、充分だと思ったら、次に進みます。
いま書いた文章のなかに、かならず次に書くべきことのヒントがあるはずです。ヒントというか、次のイメージへ思考をジャンプさせてくれるきっかけとも言うべきものです。
ここで僕のイメージを触発させるのは、男が微笑んでいて目がキラキラしていたというところです。
なぜ男は、こんな表情をしているのか?
前に進みます。)
カナタは、僕に、今は何年なのかと訊くので、2016年だと教えると、いきなり僕の体に抱きつき、「やったぁ、成功した! 僕はタイムトラベルしたぞ!」と言うのです。
(ここで僕は、タイムトラベルしたぞと言う男に抱きつかれた、自分の気持ちはどうだったろうと疑問に思いました。そこでこの気持ちを詳しくします)
僕は、やばいと思いました。この男は、頭のいかれたやつで、もしかしたら精神病院から抜け出してきたのかもしれない。かかわるとろくなことにならないぞという不安感が湧いてきました。
(気持ちを詳しくするのは、これくらいで充分でしょう。そうしたら、また前に進みます。ヒントは、自分の書いた文章の中にあります。無意識はすでになにを書くべきかをつかんでいるはずなのです)
僕はこの男を、押し返して、逃げだそうとしました。
ところが男は、僕の体を後ろからつかんではなそうとしません。
「きみは、篠田俊太郎だろう。僕はきみに伝えなければならないことがあるんだ」
(自分の名前を男が知っていたのは、なぜか? 伝えたいこととは、なんなのか? いきなり二つも謎が生まれました。次には、これを詳しくしていきます)
◯こんな感じで『くわしくする』と『前に進む』を繰り返していけばいいのです。
おそらく前に進んでいくうちに、ストーリーの実体がしだいに浮き上がっていくはずです。
ストーリーは何もかんがえていなくても、即興でいくらでも書けるのです。
◯いま紹介したのは、頭のウォーミングアップとしても有効です。
ストーリーをつくるため、あらすじをつくるために、頭と心のウォーミングアップをするのは、いいことだと思います。
くわしくすると前にすすむゲームをやってみてください。
いいウォーミングアップになるはずです。
◯あらすじは、あまり詳しくなくてもいいですが、感情の変化や、起きる事件など、これは絶対に書いておかなければならないというところは外さないようにしたいものです。
この記事へのコメント
こんなすごい虎の巻を文章にしていただいている事に感激しつつ、毎晩楽しみに読ませていただいております。
私自身は直接的には脚本を書きたいという目的は現在持っていません。すみません。でも先生の、アイデアを出すウォーミングアップの手法や、考えの転がし方が、自分の仕事に役立つ。応用できると常々感じていました。今回このようにまとめていただいて、ますます毎日が楽しくなってきました。
早速、ノートも新調し、なるだけ歩いて発想を口にする怪しい人になっている今日この頃です。うふうふ。よろしくお願いします。
私自身は直接的には脚本を書きたいという目的は現在持っていません。すみません。でも先生の、アイデアを出すウォーミングアップの手法や、考えの転がし方が、自分の仕事に役立つ。応用できると常々感じていました。今回このようにまとめていただいて、ますます毎日が楽しくなってきました。
早速、ノートも新調し、なるだけ歩いて発想を口にする怪しい人になっている今日この頃です。うふうふ。よろしくお願いします。
Posted by むら at 2016年02月16日 23:55
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