2016年03月07日

キモイバカは使うべし

ストーリー脚本教室(実践編22)

 ワクワクドキドキで、お客さんをつかんではなさないために、チェックしてほしいことというのを前回書きました。
 今回は、僕のチェック方法をもう一つ紹介します。

◯『キモイバカ』を見つけろ!

 なんのこっちゃ?
 そりゃ、いろんなところにキモイバカはいるよ。
 友達にもいるし、もしかした自分もそうかもしれない。
 などと思った人もいるかもしれません。(笑い)

 早まらないでください。
 これはストーリーの始めで、書き手がしっかりとつかんでおいてほしいことを、忘れないようにするためにつけたものです。

 キモイバカとはなにか?

 『キ』はキャラクターのキです。しっかりキャラクターは出来ているのか。

 『モ』は目的のモです。主人公の目的ははっきりしていますか。彼は何に向かっていますか?

 『イバ』は居場所のイバです。彼の場所、彼を取り囲んでいる場所はどこですか。それは出来ていますか?

 『カ』は関係性のカです。主人公と、他の登場実物たちとは、どういう関係性ですか? その関係性は表現できているのか?

 それらのことを描いていくことが、とても大事なのです。
 どれが欠けてもいけません。

 キモイバカを、ちゃんと描いていくことが、ワクワクドキドキでお客さんを放さないための第一歩なのです。

◯『キモイバカ、ヘン』

 キモイバカができたら、次は『ヘン』です。

 キモイバカは、たしかに変です。
 しかしここでのヘンは、変化のヘンです。

 シーンの中で、さまざまなことが変化していかなければなりません。
 それがないと面白くなりません。

 キャラクターを変化させること。
 目的を、達成するために、変わっていくこと。
 相手との関係性が、変化していくこ。

 この変化の『ヘン』は、とても大事なヘンなんです。

 どんなふうに感情が変わるのか?
 立場がかわるのか?
 世界がかわるのか?
 主人公は、成長して、変化するのか?

 これらのことがないと観客は満足してくれません。
 変化がないと感じたら、そこはもう一度書き直すべきところなのかもしれませんよ。
 気をつけてください。

◯『キモイバカ、ヘン』はインプロする俳優もおぼえておくといいです。

 インプロ(即興劇)でもストーリーを作っていくという目的は同じなので、作家がキモイバカヘンを大事にするのと同じようにキモイバカヘンをわかっていれば、シーンは自然と面白くなっていくのです。
 ただわかっていても、それを意識せずに表現するのはとても難しいです。
 意識しないでも、それが自然とだせるようになるまでになっているのがベストです。
 そうなれるようにするには、毎日のトレーニングが必要です。
 練習あるのみ!


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Posted by 名誉館長 園田英樹 at 09:16 | Comments(0) |  | 映画 | 脚本 | テレビ | 映画と小説 | 演劇
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