2008年05月29日

野球小説

一年ぶりに、野球をやりました。
実際には、数年休んでいて、去年一試合だけ出場しただけなので、ずいぶんブランクがあります。
その前は、年に二十試合くらいやってました。この二十年くらい。
ポジションは、オールラウンド。どこでもやります。
草野球歴だけはけっこう長いです。

しかし、しかしです。
さすがに近年の運動不足と加齢はもろに体に響いてました。
とくに足腰が弱ってます。
ひさしぶりの野球のテーマは、『とにかく怪我しないように』

慎重にやってたつもりなんですけど、やはり調子にのると、そのテーマを忘れて、全力を出してしまいました。
全力を出すと、意識と肉体のズレが、もろに出てしまいます。
意識のうえでは、やれると思っていても、体がついていいきません。
運動会で、お父さんたちが、よくころぶのを見ますよね。あれと同じです。
そういうわけで、やっぱりやってしまいました。

ヒットを打って、調子に乗って盗塁して、ついでももう一つ盗塁してやろうと三塁めがけてすべりこんだその瞬間、右のふともものうらにピリッときました。
長年の負傷経験で、すぐにわかります。
ハムストリングスの軽い肉離れです。
ひどくならなかったのは不幸中の幸いでした。

僕は、スポーツを題材にした小説も大好きです。
野球小説も、ずいぶん読みました。
僕が大好きだった、野球小説を、いくつか紹介しますね。

赤瀬川隼さんの『捕手はまだか』。短編集ですが、ジーンとくるいい話しです。たしかこれは映画化されたんじゃなかったかなぁ。僕は未見ですけど。
同じく『球は転々、宇宙間』。
赤瀬川さんは、かなりの野球好きらしいですね。

川上健一さんの『監督と野郎ども』。プロ野球の世界をいきいきと描いていて、気持ちのいい小説です。川上さんは、スポーツをテーマにした小説をずいぶん書かれてます。
『宇宙のウインブルドン』は、テニスの天才少年の物語が、最後は野球と深い関係にもってきます。なるほどと思える、爽快なお話です。

最近話題になってるのは、あさのあつこさんの『バッテリー』がありますね。
映画にもなったし、いまNHKで少年ドラマとして放映中です。
あんな天才投手がいたら、ほんといいんですけどねー。

他にも、野球小説には傑作が多いです。
作家の人の思い入れが、たっぷり入るので、おもしろくなるんだと思います。
やはり、好きなものを描く時、作家もいきいきするんでしょう。

海外の野球小説で思い出すのは、『赤毛のサウスポー』(ポール・ロスワイラー)ですね。
女性がプロ野球で大活躍するという話。
野球をテーマにした映画は、たくさんあるのに、小説の方は、それにくらべて少ないような気もします。
やはり小説で読むよりは、映画のスクリーンの方が似合うのかもしれません。
野球は。
いや、一番似合うのは、青空の下なんですけどね。

そうそう、実は、僕も野球小説を書いてます。
鳥栖高校の野球部をモデルに書いたんですねー、実は。
もしかしたら、まだ図書館にあるかもしれませんよー。
  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 19:38 | Comments(1) | 

2008年05月27日

夜中に……

夜中に、新宿を歩いていたら、謎の美女が現れ、僕らを拉致した。
いったい何をする気なんだァ!?
僕らは、がっしりした椅子に座らせられ、顔には布をかぶせられ、視界をさえぎられた。
まさか、こんなことが、自分の身におきようとは!

僕らは、シャンプーされてしまったのだった。
(すみません、おもわせぶりな書き出しで)

月曜日は、インプロ(即興芝居)のワークショップを受けている。
自分で、指導もしているんだけど、一プレーヤーとして、いつも現役でいたいので、ワークショップで知らない相手と即興の練習をしているのだ。
真夜中シャンプーは、その帰り道のことだった。

僕は、一緒にワークショップに参加していた大学生のヒデトモと駅に向かって歩いていたんだけど、その前に、若い女の人が立ちふさがって、いきなり「シャンプーさせてください」と声をかけて来たのだ。
あきからに怪しいでしょ、これ。
ましてや、ここは新宿。新手の客引きかと思って、僕らは、かなり及び腰になったのでした。
「店に行ったら、こわいお兄さんとかが出てくるんじゃないの?」
僕はけっこうまじめに訊いてしまいました。

くわしく話を聞くと、美容室の新人研修で、営業時間が終わったあとの練習として、今月中に三十人の人をシャンプーしなければならないという、課題が出ているんだって。
名づけて『シャンプー・サバイバル』
すごい研修です。

そういうわけで、僕たちは、無料でシャンプーを受けるという幸運に恵まれたのでした。
夜中にシャンプー!
いいカンジー!
  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 17:41 | Comments(1) | 散歩

2008年05月26日

ショーの審査員

昨日は、一月ぶりに即興芝居ショー『S1グランプリ』の審査員をしに、原宿のクロコダイルに行ってきました。
S1のSは、即興のSだ。東京コメディストアJという、チームが毎月やってます。
このショーの審査員をやるようになって、もう三年目です。

一般の人には、まだまだ即興(インプロ)というジャンルはなじみは薄いとは思います。
俳優の訓練の方法の一つとして、即興はよく行われるんですけど、それをショーとしてお客に見せるというのは、まだ多くはありません。
ひとつには、即興でお客が見ていて、面白いと感じられるシーンを演じるには、俳優にかなりの技術が必要だからです。

ショーは、それぞれ3分から5分くらいの短いコメディ的なシーンで構成されてます。
打ち合わせなし、相手役も、すべてその場で選んでの即興です。
もちろん成功することもあるし、大失敗することもあります。
大失敗しても、お客さんは、それを笑って見ているので、それはそれでショーになります。
僕たち審査員は、それぞれのシーンに点数をつけます。
高得点を取ったシーンに出ているプレーヤーが、得点を加算されていき、それでチャンピョンを競うシステムです。

このチームのショーは、もう四年目になり、メンバーの多くは即興を十年近くやっている若者たちなので、かなり面白いシーンを見ることができるようになってます。
お客さんも毎回、満員で大盛況。
この雰囲気を、多くの人に体験してもらいたいなぁと、以前から思ってます。

鳥栖の人たちにも、紹介できる機会があったらいいですねー。
東京コメディストアを、いずれ鳥栖に連れていって、みなさんに即興ショーを見せたいもんです。

コメディシーンが中心なので、会場は笑いに包まれます。
笑いは、本当に人間の気持ちを良くさせてくれます。
免疫力もあがります。
心も元気になってきます。
即興で笑いがつくれるこの方法を、もっともっと多くの人に知ってもらえたらなぁと思います。  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 11:50 | Comments(1) | 演劇

2008年05月24日

教えて学ぶ

金曜日は、新宿にある東放学園高等専修学校で、演劇基礎と、脚本を教える日。
九十分の授業を、つづけて三つやってます。

一クラス目は、おもに一年生と二年生中心のクラスで、約三十人くらい。
ほぼ演劇初心者の生徒が多い。
彼らに、即興(インプロ)演技の基礎を教えます。
どうやって演劇のおもしろさと素晴らしさを伝えるのかが、僕の使命だと思ってるので、できるだけ楽しい雰囲気のなか、生徒さんたちが遊んでるように学べるようなプログラムを考えてやってます。

実質この、七年間、この学校でどうやったら彼らに、うまく伝えられるかを考え続けてきたので、自分で言うのもおこがましいんですけど、けっこういい教え方を開発したんじゃないかと思ってます。
遊びながら、学んでいく。
行き着くところは、これだなと思いました。

けっきょく楽しくないと、学びたくないし、学べない。
脳は、遊んでいるときこそ、いい感じで活性化し、創造力も、想像力も、遊びのなかでこそ、成長するのです。

どんなことをやっているのかは実際見てもらうのが一番いいんですけど、ここでは文章でそれを表現するのは、大変なので省略させていただきます。
でも、いずれまた、鳥栖の図書館でも、ワークショップをやりたいと思ってるので、そのときは鳥栖のみなさんも来てくださいねー。

『脚本』のクラスでは、物語の作り方の楽しさと、その方法を、僕がつくった独自の方法で教えてます。
今回の参加者は、6名。
いつも来てる子が、二人くらい来てませんでした。
ちょっと気になります。
実際のはなし、高校生にプロが脚本の書き方を教えるというのは、ものすごく贅沢な授業だと思うんですけど、高校生たちには、そんなことは関係ありません。
やっぱりふつうの授業みたいに、さぽったりするわけです。
もったいないと思うんですけどねー。

でも、ここでも、僕はかなり勉強になってます。
ずぶの素人の子供たちに、物語とはどういうことで出来ているのかというかを、わかりやすく教えるということは、僕自身にとっても、毎回自分のスタートラインに戻って、自分のやるべきことを確認するということができるからです。
教えながら、僕は、かなり学んでます。

ここで開発した、『遊びながら物語が書けるようになる方法』も、いずれどこかで発表したいですね。
  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 14:13 | Comments(0) | 演劇

2008年05月22日

武雄温泉にて


先日、武雄温泉に行ってきました。
佐賀県の高校の図書館にたずさわる先生たちの総会に招かれての講演でした。
ふつうの講演だけでは面白くないんじゃないかと思い、『ドラマケーション入門』と題して、この数年開発している、いくつかのアクティビティ(ゲーム的なもの)を武雄高校の放送部の生徒さんたちと実践してみました。
そのあと、僕と図書館との出逢いにまつわるお話をしたんですけど、そのなかで、僕は大失言をしてしまったのです。

ほんと冷や汗ものの、大失敗でした。
何を言ってしまったかというと、ここでも失言を繰り返してしまうことになるので、さしひかえますけど、簡単に言うと、人の心を傷つけるようなことを、つい口走ってしまったわけです。
しかも、それが人の心を傷つけるということにさえ、自分では気づいていないという、実に残念なものです。
それに気づかされたのは、ある先生が指摘してくださったからでした。

講演者に、間違いの指摘をしてくださった先生には、本当に感謝しています。
ああいう先生に、教えてもらっている高校生は幸せだろうなと思いました。

武雄温泉には、実ははじめての訪問でした。
東京の仕事場を出て、武雄温泉駅につくまで、ジャスト六時間。
東京が嵐だったので、飛行機が少し遅れたんですけど、わりと早くつきました。
講演の開始時間まで少し余裕があったので、タクシーで楼門のところにある、鷺乃湯につからせてもらいました。
しっとりとした湯触りで、すばらしい温泉。
感激しました。
温泉好きにはたまりません。
ぜひ今度はプライベートで来たいと思いました。

講演会場に向かう道すがら、武雄の田園に広がる麦畑が、黄金色の光を放ち、なんともいわくいいがたい美しさでした。
武雄市図書館も、これまた美しい場所でした。

おりしも地元の画家の方の、美術展がひらかれていたので、目のほようもさせていただきました。
武雄高校の生徒さんたちも、素直で明るく、とてもいい子たちでした。
美しい自然と、歴史にはぐくまれた、本当にいい町です。

講演が終わってから、佐賀市に向かい、大学時代をともに過ごした松濤学舎の仲間たちと再会をしました。
松濤学舎というのは、佐賀県が運営している、大学生のための学生寮です。
僕は、大学時代、この寮で四年間を暮らさせていただきました。
そのときの仲間たちとは、二十数年ぶりの再会です。
すぐにはわからないくらい容姿が変わっている奴もいたりして、驚きましたが、すぐに昔と同じように打ち解けて、楽しい話ができました。
友人とは、本当に宝だと思います。

同窓生たちとの楽しい宴も、そこそこに失礼させてもらって、僕は故郷の鳥栖に戻りました。
そこではTCCの若手メンバーの人たちが、僕を待ってくれてました。
TCCとは、何の略か、ちょっと忘れてしまったんですが、とにかく鳥栖の街をよくしようという人たちの集まりです。
こっちのほうは、鳥栖高校の先輩や後輩が主なメンバーです。
先輩が、僕を、メンバーたちに会わせてあげようと気を使ってくれたのでした。
いろんな話ができて、本当に充実した夜になりました。

忙しい一日だったなぁ。  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 11:32 | Comments(2) | 散歩

2008年05月16日

ノアール

しばらくブログをさぼっていて、すみません。
忙しかったわけでもないんですけど、なんか放出するものが出てこなくて、筆が止まってました。
なにをやっていたかというと、テレビドラマやDVDばっかり見てました。
もちろん、それらは僕にとって、インプットにはなるんですけど……

ちょっと気分が沈んでます。
ミャンマーでのハリケーンや四川省の大地震で、あまりにも多くの人が悲劇に見舞われているということが、わかっていながら、政治の壁のせいで、ほとんど何にも手を出すことができなという事実。
一人でも多くの人命が救われてほしいです。
たぶん、世界中の人が祈ってるはずです。

落ちこんでばかりもいられないので、気分を切り換えて、明るくブログは書いていきますね。

最近見たDVDで、ちょっと好みかなぁって思った一本は、フランス製のアクション映画『あるいは、裏切りという名の犬』というやつです。
長い日本タイトルですよねー。原題は、ただの『36』。
いったい、どうやったら、こんな長ったらしいタイトルになるのよ。

警察内部の汚れた部分と、男の対決を描いた映画です。
あまり気分のいい映画じゃないので、犯罪小説や、アクション好きな人にしかおすすめできないんですけどね。

フランスは、もともと『フレンチノアール』という、犯罪映画の佳作をいっぱい作っていた国です。
ハリウッド製の、単純ドンパチ映画とは違って、『男の世界』の情感をたっぷり描いてくれます。
この映画も、そのフレンチノアールの系譜にあるなぁって感じました。
しょうがないなぁ男って……
男のしょうがなさと、かっこよさを見せるのが、フレンチノアールなんですね。
たまにはフランス映画もいいですよー。
  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 12:01 | Comments(1) | 映画

2008年05月09日

姿三四郎

『姿三四郎』と、『続姿三四郎』を見た。
いわずとしれた黒沢明のデビュー作。
NHKBSのおかげで、昭和の大監督の作品を見直すことができた。

これらの作品が、戦時中に作られた映画だということに驚く。
戦時中だということは、つまり国策映画だということ。
軍の検閲を通らねば映画を作ることができなかった時代の作品なのだ。

たしかに国策の匂いもある。
『柔道』を創設した講道館がモデルになっている物語だというところが、まず軍好みだし、『続姿三四郎』では、異種格闘技戦に挑んだ主人公が、アメリカ人のボクサーを、いともかんたんにやっつけてしまうというシーンまである。

でも、それらもふくめて、面白さをなんら邪魔してないところがさすが。
それどころか、そういう要素を、エンターテイメントにしてしまっているのがすごい。
脚本家、黒沢明は、アメリカやヨーロッパの映画をさんざん吸収した、エンターテイメント作家なのだった。

『姿三四郎』と『続姿三四郎』は、後の映画やテレビのスポーツ根性物といわれる作品群に多大なる影響を与えていることはまちがいない。
素直な主人公が、尊敬できる師匠と出逢い、悩みながらも、さまざまな困難を乗り越えて成長して行く。
そして宿命のライバルとの対決。ほのかな恋。
まさに王道。
勉強になるなぁ。

僕は、原作小説をまだ読んではいないんだけど、どうなっているんだろう。
機会があったら、原作小説も読んで、映画と比べてみたいものだ。
  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 10:18 | Comments(1) | 映画

2008年05月05日

黒沢明特集

NHKのBSで、黒沢映画特集をやっている。
なかなか見る機会のない、ドキュメンタリーをやっていたので、すかさず録画して見た。
面白かった。
すごく得した気分。

これから一年にわたって、BSで黒沢映画を放送するらしい。
レンタル屋さんにもなかなか見つけることができない、初期の黒沢作品も放送されるので楽しみだ。
みなさんも、このチャンスは逃さないほうがいいですよ。

僕の世代も、リアルタイムに見たのは、『どですかでん』以降だったので、正直言って黒沢映画に対しては、あまりいい印象は持っていなかった。
十代の僕は、まだ映画の体験も少なく、黒沢さんが映画で何をやろうとしていたのかを、理解することができていなかったのだ。

ビデオで見た『七人の侍』や『用心棒』『椿三十郎』などの面白さや、それらの映画がハリウッド映画に多大なる影響を及ぼしていることは知識としては知っていたので、どうして『乱』や『影武者』みたいなのを作るんだろう、などと生意気にも思っていた。
それら黒沢後期の映画には、あまり魅力を感じていなかったのだ。

だが、この歳になり、黒沢明という映像作家がたどった道を振りかえるとき、それらの映画の面白さが、新しく見えてくる。
映画の見方を、あらためて教わっているような気すらしてくる。
やはり、黒沢さんは、すばらしい師匠の一人です。

  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 18:29 | Comments(2) | 映画