2017年07月29日

鳥栖に行きます

きたる八月四日に、わが故郷佐賀県鳥栖市で、『わんぱく教室』というイベントに出ます。
小学生の子供たちに、「楽しい物語の作り方」を伝授します。
ていうか、子供たちと遊びに行きます。
鳥栖の子供たち、待っててねー!


そして、翌、八月五日は、鳥栖図書館で『講演とワークショップ』をやります。
ここではインプロ(即興)を使って、物語をつくる方法を体感的にお教えします。
まだ今からでも参加するのは可能だと思いますので、お時間ある方は、ぜひ鳥栖に来てください。

詳しくは鳥栖図書館に問い合わせてくださいねー。
  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 08:40 | Comments(0)

2017年03月26日

ベイブレードバースト、最終回

いよいよ明日の3月27日月曜日は、シリーズ構成をしているアニメ番組『ベイブレードバースト』の最終回です。
一年間、全力で脚本書いてきました。
コロコロの原作物ですが、アニメのストーリーに関してはかなり自由につくらせていただきました。
むしろ原作漫画よりも、テレビの脚本の進行を先行させなければなりませんから。
さらにホビー物の宿命で、おもちゃの発売予定とアニメの放映をシンクロさせなければならなかったりする難しさもあります。
そういうものもふくめてテレビアニメ作りだと思います。
企画からふくめると満2年かかってます。

うれしいことに引き続き2期がはじまることが決定しています。
タイトルは『ベイブレードバースト神(ゴッド)』となります。
主人公と世界観は同じですが、舞台を世界に移しての物語になります。

これを書いている時点で、脚本は半年ほど先の回を書いているわけなんですけど、まだまだその先はおぼろげにしかみえてません。
走りながら考えてます。

最終回のオンエアとはあまり関係ないんですが、
OvObのサイトに載せている、僕の高校生向けの脚本を追加しました。
『カナリア』という芝居です。女子高校生五人でできます。
のっけたのは2009年に上演したものです。
https://sonodahideki.wixsite.com/ovob/blank-1

高校演劇部とかで脚本を探しているなら教えてあげてください。
  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 11:44 | Comments(0) | 名誉館長の一言 | テレビ | 演劇 | 脚本

2017年03月13日

佐賀を巡るアニメ、完成しました

脚本を書いた佐賀を巡るアニメ、完成しました。
YouTubeで見ることができるので、ぜひ見てください。
http://news.ponycanyon.co.jp/2017/03/18260  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 15:16 | Comments(0) | 名誉館長の一言 | 映画 | 脚本

2017年02月15日

卒業

インプロを教えていた高校生たちが出演している卒業公演を見てきました。
彼らが一年生に入ってきたときから関わっているので、まるで親の目線で見てしまいます。
もっとしてあげられることはなかったのかと自問自答。
卒業したら、なかなか会えなくなるしねぇ。
本当にお疲れさまでした。

卒業公演。
かつては僕も演出として十年間かかわりました。
最後にやったのは、もう五年前です。
最初の卒業生を送り出してから、もう十五年もたちます。
感慨無量。
そのとき生まれた赤ちゃんが、次は高校にはいってくるのね。
すごい!

自分が高校を卒業したときには、自分を教えてくれていた先生たちとの別れに、ほとんど何も感慨をもちませんでした。
友人たちと別れるのは寂しかったもんですけど。
きっと先生たちも、なにがしかの感情をもって送りだしてくれていたんだなと、いまならわかります。
自分は先生たちをあまりレスペクトしていない生徒だったなといまさら反省です。

お世話になった先生たちに、いまさらですか感謝しております。
遅くなりすぎですけど。

自分が高校卒業したときは、浪人生活のあまりにも漠然とした見えない未来への不安と、なんの希望ももてずに、ただ予備校に通うつまらない日々に、ただ絶望していました。

大学に入り、東京に出てきてから、ようやく自分をおさえつけていた何かから解放されて演劇と出逢い、それからようやく毎日が生きる実感に満ちた気がします。

演劇には、いろんなものをもらいました。
そのお返しを、していかなければならないんだろうと思います。

十七年前に、高校生に演劇と脚本をおしえることになったとき、今書いたのとまったく同じことを思ったのでした。
  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 08:57 | Comments(0) | 名誉館長の一言 | 演劇

2017年02月05日

脚本塾やります

今月からまた脚本塾を再開することになりました。
八丁堀のユーキーススタジオでやります。
受講料けっこう割高かもしれないけど、分割とか相談にはのってくれるそうです。
東京近郊の人しか受講できないのがもうしわけないけど、地方の人たちにも伝える方法がないか模索したいです。
九州、佐賀、鳥栖とかでもやれたらいいですね。

詳しくは、以下のページを見てね。
https://www.facebook.com/studioyoukeys/
  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 10:39 | Comments(0) | 演劇 | 映画と小説 | 脚本 | オセッカイザー

2017年02月02日

佐賀のアニメの情報です

佐賀県のアニメつくっています。
情報が解禁されました。
佐賀と唐津をテーマにしたストーリーを書きました。
次があるなら、鳥栖や他の町もテーマにとりあげて、どんどん佐賀県の素晴らしさをアニメで世界に伝えていけたらと思います。
http://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1485828405
  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 08:39 | Comments(0)

2016年07月01日

園田英樹演劇祭、まもなく開幕

『新宿コメディショー』にむけてのインプロ集中稽古中です。
コメディショーとタイトルについちゃってますが、稽古は、まさに真剣勝負。
きびしい稽古になってます。

インプロのワークショップは、楽しい笑いの絶えない稽古にしたいのですが、今回はそうはなってません。
シーンを演じているときに、出演者たちの本当の感情を引き出すことを目的にしているからです。
本当の感情を使って演技をしたとき、俳優たちは、ものすごいエネルギーを使います。
本気で怒ったり、本気で泣いたりしたときのことを思いだしてください。

ふつう人間は、日常において、できるだけ激しい感情になることは避けるように行動しています。
しかし演劇では、そうはいきません。
感情的にならなければ、演劇は面白くないからです。

インプロのシーンを演じるときも、感情的であることが大事です。
そうなるためのトレーニングを千本ノック的にやってます。
だから疲れます。

その結果をぜひ見に来て欲しいです。
新宿コメディショーからスタートする園田英樹演劇祭、開幕間近です。
  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 09:23 | Comments(0)

2016年05月12日

主人公について

脚本を書いたときに、チェックすべきこと。

観客が物語についていこうとするとき、まず感情移入したい人を登場人物の中で探します。

もっともそれがしやすい人が、主人公となります。

それができていない作品が多すぎる。
どうしてこんな簡単なことがわからないのかが不思議なのだが、理由の一つがわかった気がしました。

俳優さんが主宰して、自分で作演出している時に、よく起きることの一つ。

稽古の段階から、自分(作演出)は主演の人のことを良く知っていて、その人が主演だと認識しているので、物語がはじまるときに、その人が主演としてたっていると思いがちなのだ。(思い込みがち)

初見の人は、まったく違う視点で見ていることがわかっていない。

そりゃ、トム・クルーズやデカプリオが主演ならば、観客の誰もが、その人を中心に物語が動いていくのだろうとわかるだろうが、ふつうの俳優では、それは無理です。

舞台がはじまるときに、まず誰についてきて欲しいのかを、ちゃんと観客に伝えるべきなのです。
それさえできていれば、最悪の事態は避けられやすいと思います。

そうする方法(技術)は、いくつもあります。
それを使うべき。  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 09:01 | Comments(1) | 演劇 | 脚本

2016年05月07日

七月に向けての稽古始まる!

七月にやる「園田英樹演劇祭」に向けてのインプロチームの稽古が始まりました。
精鋭と新人が入り交じっての稽古は、初日から大盛り上がり。
まだ全員がそろったわけではありませんが、これから有意義な稽古を本番まで続けていけたらと思います。

指導をしている僕がやろうとしていることは、『できるだけストレスなく、ロングフォームのストーリー作りができるようになるメソッド作り』です。
ロングフォームというと、初心者にはハードルが高そうですが、そのハードルを越えていくことで、その他のインプロの大事なところを学べるとも思っています。

経験者にも、未経験者にも有効な方法をさぐっていきます。

脚本家としての技術のすべてが、インプロの指導にも役だっています。
逆に、インプロを教えながら、自分の脚本技術のおさらいにもなります。

初回の今回は、『主人公をつくる、あくまでも簡単に』というテーマで進めました。
参加者のみなさんの反応も上々でした。
あ、写真を撮っておけばよかったーー!  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 08:23 | Comments(0) | 演劇 | 脚本

2016年04月24日

インプロで主人公をつくるエクササイズ

インプロ、ショーコース、一回目

 あくまでもショーでストーリー性の強いロングフォームインプロをするための稽古をはじめました。
 他のインプロヴァイザーにも参考になるかもしれないので、どんなことをやったのかを、ざっくりと紹介しますね。

 稽古の参加者は、みんなショーに出た経験のあるインプロヴァイザーたちです。
 そして脚本の舞台にも出演している俳優でもあります。
 演技とインプロの基礎的なことはすでにわかっているプレーヤーたちだということを前提として、稽古をやっています。

 インプロチームでストーリーをつくるためには、プレーヤーたちの共通認識と理解が必要です。
 全員で同じ方向を見て、前に進んでいかなければならないからです。
 そのためのトレーニングをしていきます。


◯『連想』と『衝動』
 この二つを、トレーニングをするときのキーワードにしています。
 インプロをするときに、もっとも使う二つの感覚です。
 プレーヤーの内側に起きるこの二つの感覚にしたがって演技をしていくことが、もっとも大事だと思っているからです。
 エクササイズに入る前のウォーミングアップは、この二つをだしやすくするためのものを選びます。

◯エクササイズ

◯名前をつける

 シーンに登場してくる登場人物の名前というのは、これから生まれる物語に、すごく大きな影響を与えます。
 (多くの物語の主人公の名前を思いだしてください。それぞれその物語を背負うにふさわしい名前がつけられているはずです。)
 特に主人公の名前は、重大です。

 僕も脚本家として、さまざまな主人公を書いてきましたが、いつも主人公の名前をつけるときには苦労してきました。
 これは簡単なことではありません。

 普通の名前というをつけるのは、それほど難しくないんですが、特別な名前というのは、おいそれと転がってはいないからです。
 もちろんキラキラネームの流行から、日常でも主人公みたいな名前をもった人もいるにはいらっしゃいますけどね。

 ですから、まず最初に名前を相手につけるエクササイズをします。

◯名前(キャラクター)には、四つの種類があります。
 まずはそれをわかっていなければなりません。

①ヒーロー
②普通の人
③負け犬
④罪人(悪人)

 ヒーローはまさにスーパーヒーロー、英雄、尊敬できる人たちです。みんなのあこがれの的の人物のことです。
 普通の人は、読んで字のごとく、平凡でわれわれと同じような人物です。
 負け犬は、弱者です。失敗して傷ついて、弱っている人たちのことです。
 罪人は、罪を犯している人、悪人です。アンチヒーローたちのことです。

 多くの物語では、登場人物の名前だけで、多少の性格や、役割がわかるように作家は工夫しています。あとからつけていることもあるでしょう。インプロでも、これを使わない手はありません。

 その主人公によって、(その名前によって)これから展開する物語の大きな方向性が決まっていくのですから。

◯エクササイズの方法

1、基本的に円になって立ち、これから相手につける名前がどのパターンのものなのかというものを決めます。
 「じゃあ、ヒーローの名前ね」
 そして、相手を見て、イメージがわくのを待ち、わいてきたら、その人を指さして『名前を与えます』
 「アボカドマン」
 アボカドマンと呼ばれた人は、自分のこと指さしてを「アボカドマン」と繰り返します。
 そしてまた誰かを見て、イメージして、その人に名前を与えます。
 「神宮司剣介」
 これを繰り返します。
 「春風香」「ワンダースラッシュ」「青空かける」「スーパージャスティス」「織田信長」などなど。

 さまざまなヒーローっぽい名前が生まれてくるでしょう。

 これを「普通の人」「負け犬」「罪人」でもやります。
 それぞれ、それっぽい名前が生まれてくることを体感します。

 たとえば、
 「普通の人」……田中ひろし、鈴木あきら、吉田よしこ、メリー・アン、ジェームズ、キム、などなど。
 「負け犬」……林家すべる、きたいなしお、今田ざんねん、未来なしこ、おしいことよ、またまけた。
 「罪人」……罪田おかす、闇尾ぬすむ、マックロ、ひとだころす、ダークバイン、ブラックキラー、などなど。

 普通の人の名前はつけやすいけど、負け犬、罪人の名前などは、ちょっと難しいです。
 いきなり即興でつくるのは、たいへんかもしれません。(このあたりはエクササイズとかショーのときに工夫するべきところかと思います)

 このエクササイズの目的は、名前をつけることに慣れると同時に、名前からインスパイアされることが大きいということを体感でわかってもらうということにあります。


◯主人公を作る

 物語の中では、主人公の役割は重大です。
 主人公しだいで物語が、どうなるのかが左右されると言っても過言ではありません。
 なんといっても観客は、この主人公と共に物語を体験するのですから。

◯エクササイズ「主人公をつくる」

 やはり円になって、「名前をつける」のときの要領で、一人に名前をつけます。(五六人)
 つけられた人が嫌だったら、また別の人が別の名前をつけます。

(この拒否権はつけられる人にまかせます。インプロでは、イエスアンドが基本だということは、やっている人なら誰しもが知っていることですが、乗れないアイディアもたまにはあります。そういうときは衝動にしたがって否定することも大事です。さらにインプロをやるときには衝動にしたがって演技をすることが求められますが、シーンの最初とか、思考が必要な時もあります。そのときはできるだけシーンに飛びこむ前にアイディアを思いつきます。そしてシーンに飛びこんでからは思考に入らずに、その瞬間を活きた演技に没頭していくことです)

 一人に名前がついたら、その人物を全員で詳しくしていきます。
 一人一個ずつでかまいません。

 例えば、こんな感じ。

A「アボガドマンさんは、アボガドを食べるとスーパーヒーローに変身するんですよね」
アボガドマン「はい。アボガドにひめられた超古代のパワーがわたしの体のDNAに力をあたえて変身できるようになりました」
B「アボガドマンさんには、妻と六歳の息子さんがいますよね」
アボガドマン「はい。次は娘が欲しいと思っています」
C「家族にはアボガドマンに変身できることは秘密にしてますよね」
アボガドマン「ええ、家族に心配をかけることはできませんから」
D「アボガドマンさんが変身できる時間は、一分しかありませんよね」
アボガドマン「はい。せめて三分はもつといいんですけと、一分しかもちません」
E「アボガドマンさんは、両親を殺した悪人を見つけ出して、復讐したいと思ってますよね」
アボガドマン「ええ。おさないころに両親を殺した犯人をいつか捕まえて、復讐したいと思っています」

 瞬く間に一人の主人公が出来上がっていきます。
 そしてこの中に、次に展開していくであろう『ストーリーの種』がたっぷりふくまれていることに気付くでしょう。

 このときアイディアをつける側は、考えすぎる必要はありません。
 基本的に大事な要素がいくつかあるので、それをちゃんと着けてあげます。
 基本的なこととは、次の要素です。

①年齢と性別。
②家族、もしくは恋人、伴侶はいるのか、いないのか。
③苦手なこと、弱点はなんなのか。(これが特に大事です)
④目的(欲求)はなんなのか。

 最低限、以上のことが明らかになっていると、舞台上にフィクションの主人公がリアリティを持って立ち上がってきます。

 例ではヒーローのアボガドマンを作りましたが、このエクササイズを、他のパターンの主人公でもやっていきます。
 普通の人は作りやすいと思います。そして「負け犬」「罪人」のキャラクター作りがけっこう難しいことに気付くでしょう。
 ふだんの日常では、あまりそれらの人々のことを意識せずに生活していますから。

 しかしエクササイズなので、うまくいかなくてもいいので、何回もやってキャラクター作りになれてください。

 このときに一人につけくわえるアイディアは、多くて5、6個でいいです。
 あまり多すぎてもおぼえていられないものです。
 一人ができたら、次の人を新たに作っていきます。
 これを参加者全員分やります。
 時間の余裕があれば、何回もやっていいです。基本的につけるべきアイディアをつけられているかどうかをチェックしながらするといいでしょう。

 いま紹介したエクササイズはいわゆる「ホットシート」と呼ばれているものからアレンジしたものです。
 脚本家は、ストーリーを書きだすまえに必ず人物の設定案をつくるものです。
 かなり細密な資料をつくることもあります。(履歴書を作る人もいます)
 それらがこれから書いていく脚本を支えるものだということを知っているからです。

 このインプロでやる、主人公作りのエクササイズは、脚本家が一人でやっていることを、プレーヤー全員でやるように開いたものです。
  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 06:55 | Comments(1) | 演劇 | 脚本

2016年04月20日

震災について

震災で多くの人が被災し、いまも大変な思いをしています。
避難所や車の中で寝ている人たちのことを思うと、気が気ではありません。
ブログの更新が滞っているのは、そのせいでもあります。
楽しみにしていてくれている人がいたら、もうしわけないです。

わがホームタウンである鳥栖の人たちも、余震の影響で眠れない日々を送っていらっしゃる人も多いでしょう。
一日も早く地震が沈静化するのを祈っています。

多摩美映像演劇学科での脚本の授業が始まっていますが、生徒の中にも熊本市内出身の子がいました。
家族は無事だったと言っていましたが、心配でしょう。
心配しても、自分のことに精一杯で何一つ支援活動はできていませんが、これから義援金などできることはしていこうと思います。  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 05:46 | Comments(1) | 名誉館長の一言

2016年04月16日

無題

熊本を中心に九州全域が地震で被災しています。
故郷、鳥栖もかなり揺れています。
熊本にも親戚や友人たちが数多くいるので、気がかりです。
被災している方々の気持ちを思うと、胸がつまります。
無事を祈ります。

落ち着いて、行動しましょう。
そして助け合いましょう。
  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 11:00 | Comments(0) | 名誉館長の一言

2016年04月15日

心に情熱の火をつけること

高校生への脚本とインプロの授業がはじまりました。
週に一回ですけど、ういういしい高校生と交流するのは、毎回新鮮です。
十六年目になります。
ふと気付いてびっくりしました。
新入生の子供たちは、僕が教えることをはじめてから生まれた子たちなんですね〜。

そして二年前一年生だったときに、三ヶ月だけインプロを教えた子たちが、三年生になっていました。
彼らの成長も感じて、高校生の三年間というのは、人間が見た目も精神的にも大きく変化するときなのだというのを、実感します。

自分で言うと自慢になってしまいますが、かなり面白い授業をやっていると思っています。
十五年間、さまざまなトライアンドエラーを繰り返して、メソッドを開発してきましたから。

しかし高校生たちには、テクニックを教えるよりも大事なことがあると思っています。
まだこれから何にでもなっていける可能性の塊のような子たちに必要なのは、自分を自分ではげまして育てていける情熱の火だと思います。
彼らの心に、その火をつけられるようにがんばります。


脚本の授業では、シアターゲーム的なことをやったりしながら、こちこちに固まっている社会性という名の無意識を取っていくことからはじめます。
自由な発想で創作をする脳にしていくのです。
連想ワードゲームなどをたっぷり目にやります。

発想力の基本は、連想力だと思うからです。
無意識を使って創作をする。そこに近づけるようにしていきます。

インプロの授業では、今期は、エクササイズのやりかたを少し変えてみることにしました。
即興の授業なのに、一回目は脚本を使った、本読みから始めました。
脚本から、「感情の変化」を読み取ること。
短いセリフのやりとりの中にも、無数の感情があって、それが瞬間瞬間、変化していることに気付くこと。
それをまず理解するためには、脚本を読むことから始めたほうがいいと思ったからです。

渡された脚本のセリフの横に、「そのセリフはどんな感情で言うのだろうか?」というのを、( )の中に書いていきます。
いわゆるサブテキストを読み取る練習です。それを感情にしぼったやりたかたです。

インプロ(即興劇)でも、まずはちゃんと感情を使ったやりとりのあるシーンを作ることが大事です。
それをするためにも、これから自分たちがインプロでやるようになることに近いシーンを、脚本で読んでおいた方が理解は早いだろうと考えました。

スポーツを始めた選手には、まずは正しいフォームを教えることが大事です。
正しいフォームを知らないまま、自分流でやりはじめると、体を壊したり、いらない癖がついてしまうことが多々あります。
それを避けるためにも、最初に正しいフォームを体験してからの方がいいと思ったのです。

登場人物の感情と、その変化こそが、なによりもシーンを面白くしているのだということをわかった上で、いいインプロができるように指導していきたいです。
  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 10:01 | Comments(0) | 演劇 | 映画と小説 | 脚本

2016年04月14日

声優さん志望の人のインプロについて

ストーリー脚本教室(番外編3)

 前々回に書いた、番外編の続きです。

 俳優にとって、インプロ(即興)のトレーニングは有効であることは間違いないですが、それぞれの人がインプロのトレーニングに何を求めているのか、はっきりと自覚してやったほうがいいと思います。

 僕なりに思うこと、個別に書いてみたいと思います。

 今回は先日も話題にした「声優」さんにとってのインプロトレーニングについてです。

 インプロのトレーニングが、声優にとって、どういうところに良い影響があるのか。(これはあくまでも僕の私見です)

 インプロのトレーニングにより、

「失敗をすることを怖れない体質」
「いつでも遊ぶという心」
「緊張しないこと」
「瞬間的に感情を出す力」

 などは確実に鍛えられます。
 「ストーリーのなりたちを理解することで、台本を読み解く力」もつくでしょう。

 しかしこれが現場で役立つためには、まずは現場にたどり着かなければなりません。(つまり声優事務所内でマネージャーに評価され、オーディションを受けさせてもらい、なおかつオーディションに受からなければななないのです)

 現場にたどり着くためには、なによりもまず演技力、表現力が必要です。

 それを身につけるためには、なによりも台本を使っての演技力を鍛えるためのトレーニングが必要です。
 台本をきちんと読み込んで、それを正確に表現することができるか。

 そのために最も役立つのは、舞台俳優としてのトレーニングだろうと思います。
 キャラクターをつくりあげ、それを実行する技術が必要です。
 そのためには全身を使っての表現力の養成が大事です。

 そういう意味で、声優志望の人にはインプロよりも台本を使っての舞台劇のトレーニングを、僕はお薦めします。
 もちろんインプロ力は必要ですが、インプロができるからと言って、声優としての仕事があるかというと、そうではないからです。
 結果(声優としての仕事)を得るためには、まず自分になにが足りないかというのを、正確に把握して、それをおぎなうためのトレーニングをするべきだと思います。
 それはインプロではないかもしれません。

◯いいインプロの芝居をするためには、リアリティある演技力、感情表現の使い方が必要。

 即興は、演技力がなくても出来ます。
 (ここでは人に見せるための演技のことを言っています。人は、無意識に演技をして生きている生き物です。そういう無意識的な演技のことではないです)

 インプロでは、演技によってキャラクターをつくらなくても、そのプレーヤー自身で舞台上に立ったとしても、シーンは成立します。
 (最高の演技は、演技しないこと。という考えもありますが、そういう領域に到達している人には、ここでいう演技力の養成というのは、すでに必要ではありません。)

 演技力が無くても、インプロは出来てしまいます。
 実はインプロは簡単なのです。
 マインドさえしっかりしていればいいのです。

 テクニックがないということが、最大のテクニックになるときもあります。
 その証拠に、小学校低学年の子供がするインプロが、だれよりも面白かったりするのを、僕は何度も見ています。

 ただし、ストーリー性の高いロングフォームやインプロミュージカルをきちんと成立させるためには、インプロの知識、経験と、たしかな演技力や歌唱力が必要です。
 インプロをやる俳優さんたちには、この演技力と歌唱力を高いレベルで持って欲しいのです。

 演技の素人ではなく、演技のプロがインプロをやることで、見ごたえのあるシーンが作れるようになっていくのは間違いありませんか。


◯演技の素人のインプロと演技のプロのインプロは、同じインプロでも、サッカーと野球くらいの違いがあります。
 サッカーと野球は、同じ球技という範疇にありますが、二つのスポーツは、まったく違います。
 両方とも、球技(インプロ)としての楽しみは同じなんですが、それぞれの質は別物です。

 観客の立場だと、僕は両方を見ていて楽しめるんですが、俳優さんは、よりリアリティのある演技によるインプロをしたくなるだろうと思います。

 これは声優さんにとっても同じでしょう。
 まずは演技力を強化すること。
 インプロ力は、その演技力をベースにしてこそ活きるものだと思います。  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 09:15 | Comments(0) | 演劇 | 脚本

2016年04月13日

四月、いろいろ始まります。

四月なので、学校が始まりました。
僕は高校生と大学生を相手に、週一で脚本と即興を教えています。
もう十年以上にもなります。
そのなかで、いろいろと教えるためのメソッドを考えてきました。

教えることで、教わることがあると気づかされたこの十五年です。

多摩美の映像演劇学科は、今年の四年生が最後の生徒になります。
学科がなくなってしまうのです。
つまり僕の多摩美での授業も今年が最後になるでしょう。
最後の一年を大事に教えて、そのなかから作家が誕生するようにしたいです。

東放学園高等専修学校の高校生たちとの授業は、演劇を使ってのコミュニケーション能力の向上目的の授業から、脚本の基礎知識。
ここの高校生たちは、声優志望や漫画家志望の子たちが多い。
高校生に教えるときは、専門的なことよりも、演劇やストーリー作りの「楽しさ」がつたわるようにしている。
いろいろな方向に行く可能性を開いてやれればいいと思っているからだ。
まずは楽しいと思ってもらい、自分でもっと追求したいと思わせることが大事だ。

しかし学校というものは、単位が取りたいという目的のためだけに来ている生徒もいるわけで、こちらの思いとすれ違うこともあります。
そのあたりの現実とのつきあいかたが難しいです。

しかし人と人とは一期一会。
彼らと、人生の一瞬を共有することにこそ、授業の意味はあるのだと思います。
何かを残すことができるようにつとめます。

本業の方がおろそかにならないように、そっちももちろんがんばりますけどね。

それから今年は、僕の芝居作りをいつもサポートしてくれているユーキースエンターテイメントさんが、スタジオを作ったので、そこでもインプロと脚本を教えることになりました。
以下は、その詳細です。
興味のある方は、ユーキースの方に問い合わせて見てください。
お得なレッスンだと思います。

インプロの初級コースの方は、僕は特別講師で、ときどきしか行けません。

【STUDIOユーキース開校!】
特別講師はポケットモンスター、ベイブレードバーストなどの脚本を手掛ける園田英樹
・脚本スクール ・インプロワークショップ
それぞれ、受講者募集!!!

この春、『STUDIOユーキース』を
中央区八丁堀に開講いたしました!

○インプロワークショップ初級コース
○脚本スクール

上記の講座の参加者を募集しております。

〈インプロワークショップ 初級コース〉
即興芝居で表現力、発想力、コミュニケーション能力を身に付ける。
舞台はもちろん、映像の俳優としても必要なものが満載!このコースでは、インプロ・演技の基礎を身に付けましょう。
講師は乃木太郎、大迫洸太郎。特別講師を園田英樹が務めます。

〈脚本スクール〉
劇場版ポケットモンスターの脚本などを手掛ける園田英樹が講師を務める。
現役脚本家の元で、貴方の秘めた才能をみつけてみませんか。

みなさまのご参加を、心よりお待ちしております!
以下詳細です。

●講師
園田英樹 脚本家・演出家・インプロプレーヤー・ カラフル企画主宰。 劇場版『ポケットモンスター』シリーズの脚本を多数担当。舞台、小説、ゲームシナリオ戯曲、映画脚本と、幅広く活動している。
脚本参加作品として、『機動戦士Vガンダム』『キャプテン翼』『絶対無敵ライジンオー』など幅広い世代に作品を持つ。現在『ベイブレードバースト』テレビ東京系列で放映中。

乃木太郎
ユーキース・エンタテインメント所属。映画「北のカナリアたち」や「歌舞伎町はいすくーる」(準主演)、「DEATH NOTE」などにに出演。また、舞台では2013年、日本橋公会堂にて公演を行った舞台版「鉄道員(ぽっぽや)」(日本橋劇場)に出演。俳優業以外にも、執筆・演出業にも力を発揮し、幅広い分野で活動中。

大迫洸太郎
ユーキース・エンタテインメント所属。舞台を中心に活動。
インプロ歴は長く、園田英樹・乃木太郎が立ち上げたインプロパフォーマンスチームOvOb(オブオブ)の中心メンバーでもある。

●日程
〈インプロワークショップ 初級コース〉
毎週火曜日 20:30〜22:30
〈脚本コース〉
毎週月曜日 20:30〜22:00

※全日参加も数日だけの参加もお受けいたします。お気軽にお問い合わせください。
※参加人数により中止になる場合がございます。

●場所
STUDIOユーキース

〒104-0032
東京都中央区八丁堀2丁目1-9
川名第二ビルB1

東京メトロ日比谷線
八丁堀駅 A5出口 徒歩約4分

都営地下鉄浅草線
宝町駅  A8出口 徒歩約3分

●費用
1レッスン2,000円(税別)〈チケット制〉

●お申込み・お問合せ
(株)ユーキース・エンタテインメント

〒103-0025 東京都中央区日本橋茅場町2-16-7本間ビル3F TEL:03-6661-2070(担当:ながお)
MAIL:nagao@mg-ad.com  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 07:56 | Comments(0) | テレビ | 演劇 | 脚本

2016年04月11日

芝居を見ながら、何を考えているのか。

中野ザ・ポケットで、まじんプロジェクトの公演『くれない坂の猫』を見て来ました。
脚本、長田育恵、演出、田中圭介。

てがみ座の長田さんの脚本の力に、あらためて感心させられる舞台でした。
面白かったです。
僕らの年代の人間には、とてもよくわかる時代背景。万博の頃。
去年から三本長田作品を見ましたが、どれも良かったです。
そのなかでも、この作品は小劇場にとてもマッチしていて、俳優さんたちの魅力も引き出す演出もあり、とても気に入りました。
ウェルメイドという言葉がぴったり。
脚本家が、とても気を使って書いているのがよくわかります。脱帽です。
演出もきめ細かくて、レベルが高いと思いました。
当日パンフを見たら、再演でした。
四年前が初演と書いてありました。

今回の舞台のことは、出演者の西園ゆうゆから教えてもらったからでしたが、こういういい作品をもっと見たいと思った夜でした。

ストーリー脚本教室(番外編2)

◯どんな感じで、ぼくが芝居や映画を見ているのか?(芝居を見ているときの心の動き)

芝居や映画を見ながら、脚本の構成とか、演出のこととかを分析したりしてしまうのは、脚本家の職業病だなと思います。

しかしストーリーや脚本作りを学びたいと思っている人には、他の人の作品を見ることは、もっとも勉強になることです。
ただ「面白い」「つまらない」とかだけで見るのではなく、「なぜ面白いのか」「なぜそうなるのか」ということを考えることは大事です。

記憶を頼りに、昨日見た芝居について書いてます。
こんな感じで、ぼくは芝居を見ています。
(冒頭部分のみです。全部やってると時間がいくらあっても足りませんから)

◯オープニング(かっこ内がぼくの心の声です)

◯舞台は古い整骨院の待合室。(セット、いいねぇ。)

◯若い娘が、ちょっと何かありそうな雰囲気で、急に掃除をはじめます。

(おっ、この人が主人公なのかな? どんなふうに魅力的に見せてくれるんだろう? まだ誰かわからないけど、けっこう可愛い女の子だし、主人公っぽいね)

◯そこに姉っぽい女の人が出てきて、「なにやってるの、こんなときに」と叱ります。二人が妹(琴実)と姉(園恵)だということがわかる。

(二人は姉妹か、姉の方、美人だぁ! 主役キャラじゃん。どっちが主人公なのかな? 叱られてるっていうことは、妹の方が主人公なのか? 『主人公は追いつめられるの法則ね』)

◯奥の診察室から、白衣の医者とスーツの青年が出てくる。医者は、青年にやたらと気をつかって話しをしているので、関係性がわかってくる。青年は、最初の若い娘(琴美)の見合いの相手で、大学病院の有名教授の息子(高橋)だということがわかる。

(おっ、いい感じの俳優さん。医者役の人、いいキャラしてんなぁ。でも、奥さん、若くない? まぁ、そこはいいか。見合い相手の人、二枚目。)

◯姉夫婦は、この見合い相手のことをやたらと気に入っている風。
だけど琴実は、あんまり乗り気じゃないみたい。
姉と妹の性格や、この家族の事情などが説明されていきます。

(すごいいい流れで、設定とかが無理なく観客に伝えられていくよ。この作家、うまいなぁ。ちゃんと勉強してるってわかるわー。見合いして、困っているってことは、やっぱりこの妹の方が主役なんだろうなぁ)

◯青年を琴実が見送るために出ていき、残った医者夫婦の会話で、だいたいの関係性とか事情がさらに詳しくなっていきます。
琴実が、怪我をした猫を拾って戻ってきます。
見合い相手は、猫を見捨てようとしたと言います。

(おー、いきなり猫助けちゃったよー。猫を助ける人を観客は嫌いにならない! セイブ・ザ・キャットの法則でました! 猫助けなかったということは、見合い相手の高橋は、敵役かァ、やっぱり)

◯医者の木原は獣医じゃないというが、妻にしかられて、猫を助けます。
みんなで猫、助けちゃいます。

(おー、みんなで、猫助けた! なるほど、これが物語全体のテーマの提示ですねー。やってきましたねー。テーマの提示。わかるりますよー。もうちょっとセットアップあるでしょ。まだ登場人物、ぜんぶ出て来てないもんねー。でも、メインは、この人たちね)

たぶん、この辺りまでが、10分以内くらい。
まったく無駄のない、オープニングです。
教科書に載せたいくらい。

◯このあと他の登場人物たちが、ぞくぞくと出てきて、セットアップを続けていきます。
ご近所の常連さんたち、(母親、中国人の料理人、笑いの取れない落語家、仕事がピンチで娘に嫌われている工員、その娘、仲人の高飛車女)が無駄なく、しかも面白く紹介されていきます。

(セットアップができたら、そろそろ物語が大きく動いていくんじゃないの? さぁ、何をやってくれるのかなぁ。期待、期待)

大きく物語を動かす、プロットポイント1(朝鮮人のけが人が病院に駆け込んでくる)が起きるのは、もうちょっと後になるんですけど、それへの布石みたいなのが、このあたりにもちょっと入っていたら、より良かったのにとは思いました。

◯怪我をした朝鮮人とそれを支えるその妹と、親戚の同じく朝鮮人の若者が病院に駆け込んでくる。
 どこにも看てもらえず、ここに来たのだという朝鮮人。どうやらこの若者たちの親は朝鮮から来て、この人たちはこっちで生まれたのかもしれないということがわかる。
 出ていこうとする彼らを、止める琴実。

(やっときたよ、大きく物語が動いていく予感。いいじゃない、いいじゃない。そうか、そういうことの方に物語を持っていくのねー。あー、この怪我した朝鮮人の青年と、この琴実は、ひかれあうようになっていくのよねー。予想できちゃうところが、ちょっと惜しいけど、王道っちゃいえば、王道だよねー。だいたい恋愛はBストーリーなんだけど、どうやらこっちがメインのストーリーになりそう……。どうなるか、楽しませてくださいよー。)


記憶をもとに、どんなふうにして芝居を見ているのかを、書いてみました。
これは脚本を読むときにも、同じような心理の動きをさせています。
参考になりましたでしょうか。

いい芝居を見ると、記憶も鮮明で、そのとき何を思ったかとかも思い出しやすいです。
  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 13:08 | Comments(0) |  | 映画 | テレビ | 演劇 | 脚本

2016年04月09日

インプロについて最近感じていること

ストーリー脚本教室(番外編1)

昨日、若い声優さんに、「インプロのショーに出るので見に来てください」と言われました。

インプロが流行ってきているのを、肌で感じています。
僕のまわりには、インプロにかかわっている人たちが多くいるので、その人たちを中心にショーやワークショップなどの話題を頻繁に聞くようになってきています。
とてもいいことだと思っています。

若い俳優さんが「わたしインプロやっています」とか「インプロ勉強したいです」などと言うのもよく聞くようになりました。
それはとても良いことだと思う反面、どういうインプロをやっているのかということに興味を抱きます。

僕が演劇を始めたのはもう四十年近く前、当時から即興でシーンを作るということをはじめていました。
それが当たり前だと思っていました。(まわりにはそういうやりかたで芝居を作る人たちがたくさんいたから)

実際に脚本を書く行為も、作家にとっては脳内インプロです。
僕にとっては即興(インプロ)は当たり前のように側にあったのでした。

そして後に、シアタースポーツなどのインプロが日本に紹介されてからは、そっちがインプロのメインストリームになっていきました。
(ヴァイオラ・スポーリンやキース・ジョンストンの教えを受けた人たちが日本で紹介をはじめたのも大きな潮流をつくっていったと思います)

もともとインプロという言葉は、音楽家たちが使っていたように思います。
アドリブとも言っていました。
演劇の現場ではエチュードと呼んでいましたね。
即興性というものは、あらゆる芸術の分野で重要なファクターなのです。

そうして発展してきたインプロには、今やさまざまなものがあります。

僕がもともとやっていたような、演劇を作るためのインプロ。
コミュニケーション能力をあげる部分に特化した教育的インプロ。
シアターゲームなどを純粋に楽しむためのインプロ。
俳優のトレーニングとしてシアターゲームなどを使ったインプロ。
ビジネスのための社員教育などのためのインプロ。(これもコミュニケーション能力アップの方ですね)
そしてショーとして観客に見せるためのインプロもあります。
(他にもあるでしょう)

それらは同じように「インプロ」と呼ばれていて、重なるところは多々あるのですが、それぞれ目的が違うので、まったく違ったやりかたになります。
それは当然のことでしょう。
コミュニケーション能力アップが目的でインプロをやっている人が、いきなりショーで人前で演技をやれと言われてもできるわけがないのです。

「こうしなけれはならない」というのが、一切無いのが、本来即興というものでしょうが、「目的」ができると、そこには方向性というものが出来ていくのだろうと思います。

「目的」しだいで、インプロはやりかたも指導方法も「方向性」が変わっていくと考えるべきでしょう。

少し難しい言い方になってしまいました。

簡単に言うと、「インプロは使い方を間違わない方がいい」ということです。
それぞれの現場にあったインプロを使っていく(トレーニングしていく)ことが大事です。

自分が必要としているインプロとは、どのインプロなのかということを、まずはっきりさせてからトレーニングを進めることが肝心だと思います。
これはインプロを指導する側にも求められることなのですが、教える相手、それぞれによって教え方も教える内容も変えていかなければならないのです。

次回は、俳優にとってのインプロとは何かということにフォーカスしてみます。
  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 10:58 | Comments(0) | 名誉館長の一言 | 演劇 | 脚本

2016年04月05日

ベイブレードバースト一話、ありがとうございました。

「ベイブレードバースト」の第一話が無事に放送されました。
見ていただいたみなさま、本当にありがとうございます。

多くのスタッフのおかげで、素晴らしく迫力のある映像が出来上がっていました。
僕もどきどきしながら画面に釘付けになりました。
上出来の一話になっていたと思います。

一話には、主人公以外のメインキャラクターたちは少ししか登場していませんでしたけど、これからどんどん強敵が主人公の前にあらわれてきます。
彼らと、どう闘っていくか、そしてどんな友情が生まれるのか楽しみにしていただければ幸いです。

テレビ放送を見逃した方には、アマゾンでネット配信されています。


スタッフとしては、できあがった作品を見るたびに、うれしさと同時に反省点ばかりが目についてしまいます。
あともどりはできるわけないのですが、ああすれば良かった、こうすれば良かったという想いがこみあげてくるのです。
脚本を書いている時点では、ベストの選択をしているつもりでも、あとから考えると、いろいろな可能性があることに気づくことは多々あることです。
これからいっそう身を引き締めて仕事にのぞんでいきたいと思います。


このブログも、放送記念でベイブレードバースト関連の記事を連続して書いていましたが、一段落したので、また通常運転にもどりますね。
よろしくお願いします。
  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 03:08 | Comments(1) | テレビ | 脚本

2016年04月04日

ベイブレードバースト、放送開始

ついに4月4日が来ました。

今日は、テレビ東京系列で五時五十五分から新番組「ベイブレードバースト」が始まります。
ベイブレードというスポーツで熱くバトルする少年たちの物語です。

僕はシリーズ構成と脚本で番組作りにかかわっています。
ぜひ見てやってくださいね。

放送開始を記念して、脚本家としてベイブレートで、どんなことをしていきたいのかを書いてみようと思います。

ベイブレードバーストのシリーズ構成と脚本を言われたとき、正直、僕の中にはベイブレートの知識はほとんどありませんでした。
かなり以前に子供がベイブレート的なものをやっているのを何度か見たことがあったくらいです。
もちろん以前のテレビアニメシリーズも見たことがありませんじた。
(偶然ですが、3月まで放送していた「おまかせ! みらくるキャット団」で監督をしてくださっていた橋本みつおさんが、前のシリーズをやってらしたということを知って、なにかの縁を感じました。)

以前のシリーズを見たほうがいいのかと、プロデューサーに聞いたら、まったく違うシリーズになるはずなので、どっちでもいいですと言われました。
少しは見ておいたほうがいいかなとも思ったのですが、影響を受けてしまうのが少し怖かったので、見ないで行くことにしました。
まっさらな状態で、この作品と向かい合いたいと思ったのです。

僕のところに企画の話しが来た時点で、漫画原作は一話のコンテがあがっている段階でした。
主人公たちのキャラクターと、一話のストーリー展開が僕に与えられた資料です。
そしてこれから発売される予定のベイたちの設定資料があります。

それを手がかりに、一年の放送予定にあわせて、構成案をつくりました。
コロコロの編集部さんと僕は同じ意見で、この新シリーズをスポーツ物としてとらえることにしました。

僕にスポーツ物を書くイメージがないかたもいらっしゃるかもしれませんが、スポーツ物は大得意です。
自分もスポーツやってましたし、スポーツ観戦も大好きです。
インプロが好きなのも、インプロにはスポーツ的な要素がたくさんあるからかもしれません。
実はスポーツ物アニメも数多く書いてきました。
バレーボール、サッカー、新体操などなど。
チャンスがあれば、もっとスポーツ物を書いてみたいと思っていたのです。
願ったり叶ったりです。

『良っシャー! やったるでー!」って感じで、脚本作りに入りました。

ベイバトルをスポーツとして真剣にやっている少年たちの物語。
このテーマがはっきりしたので、あとはそれに向かっていかに熱いバトルになるのかを考えていくだけです。

明るくて努力型の主人公と、完全無欠の天才ライバルが幼なじみで親友という設定はいいと思いました。
否定的要素がまったくないのが、新しいと感じました。
敵というか、ライバルとして登場してくるキャラクターたちも、嫌な奴にしたくありませんでした。
ベイブレードを買って、遊んでくれる子供たちが、アニメの中で自分のと同じベイを使っているキャラクターが嫌なやつだったら、いい気持ちはしないだろうと考えたのです。

当然ドラマにしなければならないので、ぶつかりあったり葛藤はするだろうけど、ベイが好きだという気持ちでつながりあえば、彼らは絶対に仲良くなっていくのでしょう。

脚本を書く前に、ベイブレードで遊んでみて、その面白さも体験させてもらいました。
バーストシステムというのが、新しく取り入れられていて、ベイがぶつかりあって、バーンとバーストするときの驚きを爽快感と共に感じました。
「まじで面白い!」
それが素直な感想です。

やはり作品というのは、書き手が本気で「好き」という気持ちがあるか無いか、微妙に伝わってしまうのではないかと思います。
脚本家は、書く対象を好きになった方がいいに決まってます。

そして絶対に成功させたいと思いました。
作品にかかわる以上、そう思うのは当然のことですけど、こういうことを仕事にしていると、そんな新鮮な気持ちをいつしか忘れていることもあるのです。
このベイブレードは、僕をまさに初心にもどしてくれました。

いま脚本を書くのが、楽しくてしかたがありません。
まさに作家冥利です。

このベイブレードバーストでは、面白くて、熱くて、ぐっと涙がこみあげてくるような作品を目指すつもりです。
そのためには多くのスタッフの力が結集しなければなりません。
全員で力をあわせて、作品を盛り上げていきます。
期待してくださいね。
  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 11:52 | Comments(0) | テレビ | 脚本

2016年04月03日

テレビ番組ができるまで

4月4日五時五十五分からテレビ東京系列で「ベイブレードバースト」放送開始です。
(僕がシリーズ構成と脚本をやってます)

放送開始記念で、今日は、テレビシリーズができるまでを書きますね。


◯テレビシリーズが始まるとき

 多くの場合、一本の電話から始まります。
「お時間ありますか? ちょっとお話がしたいので」
 制作会社のプロデューサーからの電話です。

 電話がいきなりかかってくるのは、だいたい悪いときか、良いときのどちらかです。
 こんな電話がかかってきたら、良いときであることを祈るしかありません。

「いま、お忙しいですか?」
 と、相手は遠回しに、こっちの状態を聞いてきます。
 自分がこれからする提案を聞いてくれるかどうか、こちらにその余裕があるかどうかを確かめるためにです。

 どんなに忙しくても、こういうときは正直には言ってはいけません。
「ぜんぜん大丈夫ですよ」
 と、応えましょう。
「忙しくて、いま余裕ないんですよ」
 なんて言わないこと。
 大事な仕事をみすみす逃してしまうことになりかねません。

 僕もかつて、せっかくのオファーを断ってしまって、あとで後悔したことがあります。
 どんなに忙しくても、なんとかなるものです。
 なんとかしましょう!


◯企画を最初から立ち上げる場合と、もう決まった企画の場合の両方があります。

 作品によりますが、脚本家とプロデューサーと組んで、企画書を最初から立ち上げる場合と、すでに企画が決まったものを脚本化していく場合の二つがあります。

 どちらが大変かというと、それはもちろん企画をはじめから立ち上げる場合です。
 企画が通らなければ、脚本を書くチャンスもないわけですから。

 まだ放送が決まっていない段階で、企画のために、パイロット的な脚本を書く場合もあります。
 僕も、未発表の脚本を何本も書いた経験があります。
 つまりそれらの脚本の企画は、結果的に制作には至らなかったということですね。
 世の中には、そんなふうに日の目を見ないストーリーがたくさんあるのです。

 放送が決まった企画の脚本依頼がきたときは、ラッキーだと思いましょう。
 企画を通すという苦労を、誰かがやってくれて、自分たちに脚本を書く機会を与えてくれているのです。
 まず、その人たちの努力に感謝の気持ちを持って、仕事に臨みます。


◯原作がある場合と、ない場合もある。

 テレビアニメをつくるとき、原作がある場合と、ない場合があります。
 原作があるときは、その原作をどうしたらアニメ化できるかを考えます。

 ない場合とはどういうときなのか?
 たとえば、こういうときです。
 玩具など商品がまず決まっていて、それにあわせてストーリーやキャラクターを作っていかなければならない場合。
 こういう商品ありきの番組があることは、スポンサーというものがある以上、しかたのないことではあります。(大人の事情というやつですね)


◯僕は、まず登場人物の設定を考えます。

 物語の設定は、とても大事です。
 特にストーリーを引っぱっていくことになる、主人公の設定は。

 この主人公が魅力的であるかどうかが、作品の成否を決めると言っても過言ではありません。
 ですから全力で、主人公をつくるのです。


◯主人公が決まったら、彼のもっとも最大の壁になる人物を決めます。

 主人公の次に大事なのは、主人公が最終的に立ち向かうべき相手です。
 そして主人公を中心にして、物語に必要な人物たちを作っていきます。

 まわりの人物たちをつくるのは、次のストーリーの構成作りと同時進行の場合もあります。
 ストーリーの流れをつくる中で、必要な登場人物たちが、しだいに現れてくるからです。


◯大きなストーリーの構成をつくったら、いよいよプロット作りに入ります。

 最終回までの、大きなストーリーの構成をつくります。
 もちろんこれを作り上げていく過程でも、プロデューサー、監督などをふくめて、会議をつづけ、コンセンサスをとっていくことが大事です。
 スタッフ全員が納得する作品にしていかなければなりません。


◯プロットから脚本化への過程は、これまでのブログに書いてます。
 脚本化への作業のことに関しては、過去ブログにあるので、それを見て参考にしてください。

 一本のテレビ番組が放送にいたるまでには、本当に膨大なエネルギーが必要であるということが、わかっていただけたでしょうか。

 4月4日からはじまる「ベイブレードバースト」をよろしくお願いします。
  


Posted by 名誉館長 園田英樹 at 09:56 | Comments(0) | テレビ | 脚本